若いうちにしかできないことをせよ
予備校も新入生入れ替えのシーズンである。
生徒たちの親の年齢であるわたしの毎年の最後の授業は、説教で終わる。
それは、自分の大学生時代を後悔しているから。
生活のために日夜アルバイトを掛け持ちし、空いている時間に大学に行って最低限の単位を最低限の成績でとって卒業してしまった経緯があるからだ。
今自分が大学生なら自分に言いたい。
もっと大学で勉強せい、と。きっと金なんかどうにでもなった。親戚に借りまくってもよかった。
そんなわたしにも救いはあって、それは昭和の娯楽の中心・テレビが家になかったため、保育園の頃から本を読み始めたこと。近くの小さい図書館分館の本は大人の専門的な本(そんなのほとんどなかったが)以外ほとんど読んだし、日曜日に一家で行くところといえば市の中央図書館と決まっていた。
今でも本は読むが、同じ本を若い時と40代で読んでも、感受性がちがうから、その本が自分の中まで入ってこなくなる。40代になるといろんな経験や感情が邪魔してしまう。
つまり、生徒たちに伝えたいのは 若い時にしかできないことがあるってこと。
大学で本を読み、語学の勉強をする。友人を作る、旅行をする。
やってみようと思うことは何でも若いうちにやることをわたしはすすめる。
アルバイトするなとは言わない。君たちが働く時給1000円で、本が買える。
本を読んで世界を広げよ。
働くのは、大人になったらいつでもできる。
いや、大人になったら働くことしかできないのだから。